教員は学生のなりたい職業にも入ってくるメジャーな職業ですが、近年その労働環境がブラックではないかと注目されています。
実際に憧れて就いた職業にも関わらず「辞めたい」と思っている教員も多くいるようです。
この記事ではなぜ教員がブラックだと言われているのか、教員の退職方法に退職することのメリット・デメリットを解説していきます。
教員がブラックだと言われる理由
教員がブラックな職業というイメージは世間にも広まり、学生の就職先として避けられるようになってきました。
これは数字としてもはっきり出ており、ここ20年で教員採用試験の倍率が中学校で1/3、小学校では1/4にまで落ちています。
ではどういったところから就活にまで影響する程ブラックな職業というイメージが定着してしまったのでしょう。教員がブラックだと言われる理由について確認していきます。
授業以外の業務が多すぎる
教員の仕事は授業以外の業務がとにかく多いです。
補習・事務・保護者対応さらには授業やテストの準備まで、授業以外の時でも生徒には見えないところで仕事をしています。
また体育祭や文化祭といった学校行事が行われる際には、上記の通常業務に加え学校行事の準備・指導まで行わなければいけません。
想像していた以上に裏方作業が多いことから、心身ともに疲弊していく教員も多いのではないでしょうか。
部活動の顧問として放課後・休日も業務
部活動が行われるのは放課後、さらには練習試合や大会がある運動系の部活動となると土日も毎週行われます。そのため部活動の顧問は帰りが遅くなり、休日にはゆっくりと休みの時間も取れません。
では部活動の顧問は断ってもいいのでしょうか?
まず、原則として時間外労働を強制することは法律で禁じられています。しかし新人の先生が顧問を依頼されれば断ることは難しく、仕方なく顧問を引き受けてしまうケースも多くあるのではないでしょうか。
多くの時間が奪われ、強制ではないものの引き受けるのが当たり前となっている部活動の顧問。これこそ教員がブラックだと言われる大きな要因です。
残業代が一定額しか支給されない
教員の残業代は給特法により基本給の4%と定めらています。
基本給の4%という金額は時間外労働の8時間相当にしかならず、残業時間がいくら増えようとこれ以上残業代が支払われることはありません。
そんな状況の中で、中学校の教員の6割は残業時間が過労死ラインの80時間を超えていると言われています。
本来、労働者を守るためにある法律が教員の生活を苦しめているというおかしな現状が変わらない限り、教員という職業のブラックなイメージは無くならないでしょう。
モンスターペアレントの対応で精神的ストレス
今の時代、保護者の対応にも気をつけなければいけません。
「子供に何かあった時」「学校の対応に不満がある時」学校に意見を言いに出てくるのは保護者です。
そんな保護者からの意見は子供を預かる学校としては蔑ろにすることはできず、教員には誠実な対応が求められます。
しかし、聞く側も人間。一方的に意見を言われることにひどく精神的ストレスを抱えてしまうこともあるのではないでしょうか。
教師は異動が多い
地方公務員である教員は自治体によって異動先のエリアと異動になるまでの勤務期間が定められています。
異動先のエリアは都道府県内での異動から市区町村内での異動まで、勤務期間は同じ学校に原則○年といった形です。
一般企業の部署異動と比べても職場環境の変化は大きく、3〜6年くらいで異動となるのは労働者にとって大きな負担となります。
プライベートがない
教員はいつどこで保護者や卒業生に見られているかわからないため外で軽率な行動ができません。
もし学校外で生徒に出会えば、プライベートなことでもすぐに広まってしまうことも……。
職場である学校が地域に密着しているからこそ生徒との遭遇率も高く、プライベートでも気を緩めることができません。
教員を辞めるメリット・デメリット
ここまで教員の労働環境のブラック具合を紹介してきましたが、いざ辞めようと考えると少し不安になるものです。
本当に教員という職業を辞めてもいいものか、教員から退職・転職することのメリット・デメリットを見ていきましょう。
転職先によっては収入が落ちてしまう
教員から転職すると収入が落ちてしまう場合があります。
公務員である教員はボーナス・退職金が一般の企業に比べて高くなっており、年齢と共に収入が上がる安定した職業です。
また社会的信用も高く、家や車を購入する際にはローンが組みやすくなっています。
安定という面では公務員に勝る職業はないでしょう。
時間の余裕ができる
教員を辞めると時間の余裕ができます。
労働時間外の放課後・休日に部活動で時間を取られることはありません。
もちろん残業をしなければならないこともありますが、しっかりと働いた分だけ残業代が支払われます。
今まではあまり作ることができなかったプライベートの時間も確保することができるでしょう。
仕事をしただけ評価される
仕事量に対して給料が上がらない教員とは違い、民間企業では実績を上げれば年齢に関係なく評価してもらえます。
様々な仕事を任され新たなことに挑戦できることで、今まで以上にやりがい・達成感を感じられるでしょう。
向上心の高い人・仕事をしっかり評価されたい人は転職も一つの手段です。
教員を辞めたいと思っている人は多い
教員を辞めたいと思っている人は多いです。
その証拠にTwitterの検索欄に「教員」と入れるだけで「教員 辞めたい」「教員ブラック」といったワードが出てきます。
では実際に教員を辞めたらどうなるのか、体験談を見ていきましょう。
教師を実際に辞めた人の意見
ここでは実際に教員を辞めた方の意見を見ていきます。Twitterに投稿されていたこちらのツイートをご覧ください。
私もまだ教師の体質が抜けきれず…
たった数分残業しただけで、残業代いただくことに申し訳なさを感じる(苦笑
そして、平日休んでることにも若干申し訳なさを感じる(苦笑
慣れとは怖いものだ
これまで培ってきた価値観が正しいみたいな感覚にも陥りがちでも、外を見ると世の中もっと違ってる
— Naoko Suzuki💙 (@3taro_onichan) 2019年12月24日
嫌な夢を見てハッと起きた
教師辞めたのにあの場面がトラウマとして蘇る
教師辞めたのにあの事務処理大丈夫だったかなと思う
日中は一切思い出さないのに、変な時に思い出すくそぉー
忘れさせてくれ
死ぬほど忘れたい
もう教師なんか戻らない魅力以上に嫌な記憶が鮮明に残る
本当に辞めてよかった— Naoko Suzuki💙 (@3taro_onichan) 2019年10月3日
転職後も長年の勤務で染み付いた教師体質が抜けきれなかったという意見です。このツイートに対して多くの反応があることから教師という職業の特異性が見受けられます。
さらには「トラウマ」「忘れたい」「本当に辞めてよかった」という言葉を見ても教員を辞めたことへの後悔は一切感じられません。この方にとって退職という選択は前向きな選択であることが伝わってきます。
では教員はどのようにして退職できるのでしょうか。退職方法について確認していきます。
教師を辞める方法・流れ
まず、公務員が退職するためには辞令交付式で退職辞令を受ける必要があります。
辞令交付式とは毎年3月に行われる式典であり、教員は教育委員会から退職辞令を受けます。
もちろん3月以外でも年度途中に退職できるので安心してください。その場合は上司である校長先生から職場で退職辞令を受けることとなります。
また、年度途中に退職する場合は長期休み前である7月・12月がスムーズに退職できるのでおすすめです。
では、他のタイミングで退職したい時はどうすればいいのでしょうか。スムーズに退職できるおすすめの方法を紹介します。
教師(公務員)でも退職代行を利用できる
教員が退職する際におすすめしているのが、辞めることができなかった職場・辞めづらい職場を簡単に退職できると話題の退職代行サービスです。
民間企業の方が利用しているイメージですが、退職代行サービスは公務員でも利用することができます。
労力のかかる退職の手続きを全て任せることができるため、時間が取れず転職活動ができない教員にはもってこいです。
退職代行についての詳細は下記記事で「公務員の退職代行の使い方」「退職代行サービスおすすめランキング15選」を紹介していますのでご確認ください。
まとめ:生徒も大切だが自分を大切にすることを忘れずに
教員として多くの生徒を正しく導かなければならないと気を張っていないでしょうか。教員は普通の民間企業の社員とは背負っているものが大きく異なります。
生徒のことを大切に考えるのは素晴らしいことだと思いますが、それは自分の幸せあっての話です。
生徒第一に考えるのもいいですが、自分の身体も大切にするようにしましょう。
他の仕事でもあなたが生徒に捧げてきた情熱をそのまま捧げられる会社があるはずです。