この記事では”抑うつ状態で仕事を続けることはできるのか”について、仕事が原因でうつ病を発症した私が解説していきます。
現状、自分が抑うつ状態か曖昧である方は以下の感情や自覚症状があれば可能性は高いと考えてください。
- 憂鬱・どうでもいい・自分の価値・死について思考
- 慢性的な頭痛・腹痛・胃痛・動機・疲労・怠さ
- 集中力・思考力・行動力の低下・興味の損失
抑うつ状態とは
抑うつとは、「気分が落ち込んで何にもする気になれない」、「憂鬱な気分」などの心の状態が強くなり、様々な精神症状や身体症状がみられることを言います。抑うつ状態が見られる疾患にはうつ病や躁うつ病、抑うつ神経症などがあります。
精神的な症状:憂鬱・不安・気が重い・消極的思考・集中力の低下・決断力の低下・意欲の低下・何をしても楽しくない・何の希望もない・他人と関わりたくない・死について考える
身体的な症状:眠れない・何度も起きる・目覚まし前に起きる・寝た気がしない・食欲低下・怠い・重い・疲れる・月経不順・性欲低下・頭痛・動機・胃痛
”抑うつ状態”は身体的にも支障をきたす心の病気です。普段と比べものにならないほど思考力や行動力が衰え、全てにおいて消極的な考え方をするようになります。
私の場合は「死にたい」とまでは思わなかったものの、「自分に価値はない。だから死ぬなら死ぬで別にいい。」と本当に思っていました。
抑うつを克服した今となっては信じられません。ですがこのように考え、ふさぎ込んでしまうのがうつ病なのです。
うつ病を仕事しながら克服するのは困難
「抑うつ状態で仕事はできるのか?」「仕事をしながらうつ病は克服できるのか?」このように考える方もいるかと思います。
私の経験も踏まえ、結論から言うと”うつ病を仕事しながら克服するのは困難”です。
現に私も医者から処方されたうつ病の薬を飲み、仕事をしながら克服するつもりでした。しかし結果的に半月間、寝たきり生活を送る状態まで悪化してしまったのです。
うつ病の薬は特効薬ではない
精神科クリニックなどで受診をして「うつ病」と診断されれば、精神安定剤・睡眠薬などの薬が処方されます。
ひとつ注意して欲しいことが”うつ病は薬を飲めば治るものではない”ということ。うつ病は自然治癒で治るものであり、薬はあくまでも症状を抑制・緩和させるだけです。
うつ病の原因である”ストレス”を断ち切らなければ、抜本的な解決にはなりません。長期に渡って引きずれば最悪の場合、パニック障害なども併発するようになってしまいます。
うつ病の行動パターン:仕事編
引用:日刊工業新聞2015年03月31日 ヘルスケア
こちらは仕事に関する「うつ病の行動パターン」です。私は上位4つがまさに該当していました。
私の話をすると、まず小さなミスを頻発するようになりました。当然、上司から怒られる機会が増えます。そしてミスを恐れ単純作業でもゆっくり確実・入念に行うので時間がかかります。しかし作業が遅いことを上司に注意されます。
これを繰り返すうちに上司からの評価は下がり、同僚や上司からの目を気にして自分から距離を置くようになったのです。
また思考力が著しく低下していたため、物事は本当に決められなくなりました。そして衝撃的だったことは本を読んでも内容が頭に入ってこなくなったことです。思考力だけでなく集中力も失っていたのです。
これらは私自身におきた実際の出来事です。こんな状態で仕事がうまく回るはずはありません。全てが悪循環なのです。
抑うつ状態なら休職を求めるべき
うつ病の抜本的な解決方法は”ストレスの除去”というお話をしました。
つまり今現在、抑うつ状態で仕事をしているなら休職を求めるべきです。自分が思っている以上に心は疲弊している可能性があります。
私のように無理をして仕事を続ければ無気力状態に陥り、寝たきり状態の生活を送ることになりかねません。無気力状態は突如として訪れますので本当に注意してください。
うつ病の診断書があれば休職できる
うつ病の診断書があれば基本的には休職を認めてもらえるはずです。もし認めないようなブラック企業であれば、そこに居る以上は回復の見込みは薄いでしょう。
ブラック企業に所属している場合は”退職そのものが抜本的な解決となる”と覚えておいてください。今現在「退職代行サービス」なるものまで登場しています。個人の力ではどうにでもならないなら、真剣に利用を検討してみてください。
世間では「退職代行サービスを使う奴にロクな奴はいない」などの声もあります。ですが私からしてみれば「物事を自分の価値観でしか見られない人なんだな」です。
うつ病は深刻化すると治すのが本当に大変です。人によってはフラッシュバックなど後遺症がいつまでも残る場合もありますので軽視しないでください。
うつ病時の自宅での過ごし方
休職を手にしたら、どのように自宅で過ごしていくか。
基本的に決まり事はありません。経験者としてアドバイスをするなら”何も考えないこと”です。
休職序盤は特に、その時その時で思い付いたことをやれば良いのです。ノープランと言えば聞こえが悪いですが、心と脳の休息には最適だと思います。
無理に外出したり、運動したりせずとも、心に余裕が出てくれば「暇だな」とか「何かしないと腐るな」と勝手に考え始めるので大丈夫です。
うつ病時におすすめの食事
食事は可能であれば日本食を積極的に食べるようにしましょう。
なぜなら国立国際医療研究センターの研究によって「日本食にはうつ症状の低下効果がある」ということがわかっているからです。
日本では、国立国際医療研究センターが職域で行った調査があります。それによると、野菜、果物、大豆製品、きのこ、緑茶などを多く摂取する「健康日本食パターン」の人ほど、うつが少ないことがわかっています。
引用:うつ病と食生活の関係
福井県で勤める21歳~67歳の男女521人(男性309人、女性212人)を対象に定期検査を行い、食事パターンとうつ症状との関連を調査した。
1ヵ月間の食事について質問票で尋ね、52種類の食品や飲料の摂取について、主成分分析という手法で推定した。うつ症状の評価は、質問票の回答をもとに、世界的に広く使われている「CES-D」という尺度で判定した。
野菜や、大豆食品、きのこ類、果物などをとよくとる「健康的な日本食型」、肉をよくとる「動物性食型」、「欧米型朝食型」の3つの食事パターンに分け、それぞれ強、中、弱に3段階に分類。
うつ症状との関連を比較したところ、日本食パターンのみられる人ではうつ症状の頻度が最大で44%に減少しており、際立って低いことが示された。他の2つの食事パターンでは明白な関連がみられなかった。
ただ「日本食はコストが高い、作るのも大変」と感じる方もいるかと思います。その場合は”緑茶を週4杯以上飲む”ことでも効果はあるそうです。
抑うつ状態からの仕事復帰について
休職が終われば当然ですが、仕事に復帰することになります。
この際、会社と交渉ができるのであれば”馴らし期間”を設けてもらうようにしてください。要はいきなりフルタイムで働かない方が良いということです。
例えば以下の働き方を1週間提案してみるなど。
- 午前 or 午後だけ働く
- 仕事→休み→仕事で働く
私は後者である1日おき休みで1週間ほど馴らし期間を設けてもらいました。それでもやはりフラッシュバックは起きていました。
休職を経てもやはり気が重い場合
休職期間が終わりに近づくにつれ、気が重くなってしまう場合もあるかと思います。このように感じるのであれば、先程も述べましたが”退職することが抜本的な解決”となります。
うつ病は自然治癒でしか治りません。ストレスの原因が会社そのものなのであれば、その原因を取り除かない限り慢性的に抑うつ状態を繰り返すだけです。
ただ退職や転職に不安を感じる方は多いかと思います。私自身もそうでした。ただ実際に退職してわかりましたが、意外にも不安より清々しい気持ちの方が先行していたことを覚えています。
うつ病を患ったことは災難ではありますが、退職を切り出す理由としては非常に有効です。必要であれば退職も真剣に考えてみて下さい。ちなみに私は転職してから人生が好転しています。
抑うつ状態から回復したからわかること
抑うつ状態は著しく思考力が落ちると何度も説明していますが、これは仕事や退職、将来においてもマイナスに働く場合もあります。
そこでは抑うつ状態の時には気付かなかったことをまとめておきたいと思います。ここで紹介する内容は、私自身が実際に経験し、感じたことです。
自己肯定感が無くなる
抑うつ状態になると本当に自己肯定感が無くなります。
今でも覚えているのは「何も希望がない」「生きている意味があるのか」「死にたいとは思わないが別に死んでもいい」「どうでもいい」など負の感情が強かったことです。
この負の感情が膨れ上がると「自殺」という最悪の選択肢を取ってしまう理由も何となくわかる気がします。ちなみに、うつ病を克服した今となっては以前まで感じていた負の感情は無くなりました。
このように抑うつ状態は全てのことに興味を失い、ふさぎ込み、どうでもよくなります。こんな心理状況で仕事を上手くこなすことなどそもそも無理な話です。
自己肯定感とは自己価値に関する感覚であり、自分が自分についてどう考え、どう感じているかによって決まる感覚です。(中略)
そのままの自分を認める感覚であり、「自分は大切な存在だ」「自分はかけがえのない存在」だと思える心の状態が土台となります。
ストレスの根本を削げば一気に変わる
抑うつ状態はストレスの根本を潰すことによって一気にプラス方向へと変わります。
うつ症状の度合いにもよりますが、常に感じていた”肩の重さ”がまず無くなります。そこからは時間の経過とともに心に余裕が現れ、行動力や思考力が戻ってくるのです。
私の場合は会社そのものがストレス原因でしたので、退職という選択肢を取りました。当然ですが社会的な不安はありました。ただ退職後が確定した時は不安よりも清々しさの方が先行していたことをよく覚えています。
退職の切り出しには強い意志が必要
退職がうつ病の解決になる方は多いと思います。ですのでうつ病を理由に退職した人間としてアドバイスをしておきます。
退職の話を切り出すと会社の人間は全力で引き止めにかかってきます。私の場合、計4回の面談を設けられ、最終的に取締役まで出席しました。
この際、自分が相手に言いくるめられないかが非常に重要です。甘い言葉をかけられると思いますが、退職の意志を強く持ち、ストレス原因は会社そのものであるということを常に頭に入れておきましょう。
私が抑うつ状態であった時の状況をより詳しく知りたい方は下記の記事を読んでみてください。当時の心理状態や身体的支障、退職の状況など事細かく書いたつもりです。
抑うつ状態で仕事を続けるのはNG
最後にもう一度。”抑うつ状態で仕事を続けることは困難”です。
責任感から仕事を続ける人は多いと思います。ただし、私のように寝たきり生活が待っているということも忘れないで下さい。
抑うつ状態は思考力・集中力の低下、消極的思考、身体的トラブルなど様々な弊害を生みます。そんな状況で仕事の成果は出るものではありません。
ミスが増え、怒られ、評価が下がり、上司・同僚からの見かたが変わる。すべてが悪循環に終わります。
もし今現在うつ病を発症しているなら、これを機に「心の休息」「ストレス原因の除去」を真剣に考えてみてください。人生を好転させるためには、自分で行動を起こす他ありませんよ。