この記事では”うつ病と仕事”について私自身が経験したことを書き綴っていきたいと思います。

もし今現在、

  • 仕事が原因でうつ病を患っている
  • 精神的に追い詰められている
  • 身体的な支障が出ている

上記に該当する方は特に参考にして頂ければと思います。

うつ病で仕事を辞める

退職届
私は巷でも有名な某ブラックIT企業に就職、うつ病を理由に仕事を辞めた経験を持つ人間です。

うつ病を患った主な理由は月80時間の残業、休日出勤、人間関係。基本的にうつ病は精神的ストレスが原因で発症するものですが、その症状は瞬時に現れるものではありません。よく言われているのはピーク時から3ヶ月後。私はまさにこのケースでした。

うつ発症後は半月の間、寝たきり状態。この間は本当に無気力状態でYouTubeやテレビ、TVゲームすらやる気にならない日々が続きました。

転職後の今では健康そのものですが、うつ発症時は本当に行動力、思考力は普段とは比べ物にならないほど無くなっていました。

もし今現在、うつ病の自覚がある方は私のうつ病発症から転職までの話を今後のためにも是非参考にしてください。

うつ病の自覚はないが仕事に行きたくない

男性
まず、うつ病の初期段階に経験した話をしていきます。

私はそもそも自分がうつ病であることを自覚していませんでした。ただ日々過ごすにつれ、身体的な異常が徐々に出るようになり、最終的には生活に支障をきたすほどになっていきます。

胃の痛みで目覚める

一番最初に自覚症状として表れたのが”胃の痛み”でした。

胃腸はストレスに敏感です。高度な負荷がかかれば内臓機能は低下し痛みに変わります。ただ私の場合、過去に急性胃腸炎を何度か経験していることもあって、いつものことと薬で何とかしていました。

しかし後半になると慢性的に”胃の痛みで目が覚める”という症状が現れ始めます。当然ですが夜間に数回目が覚めるため、睡眠の質が下がる一方でした。精神的疲労だけでなく身体的疲労も徐々に蓄積していく結果となっていきます。

自己肯定感が無くなる

精神的、身体的疲労が慢性的に続くため仕事のパフォーマンスがかなり下がりました。小さな見落としが増えたり、喋る際に言葉が詰まったり、言葉が出てこなかったり。

結果的に上司に怒られる機会も増え、また悩みも積み重なっていくことにつれて自己肯定感はどんどん無くなっていきました。「死にたい」とまでは思いませんでしたが、「別に死んでもいいかな。生きていても楽しいこと無いし。」と本当に思っていました。

自己肯定感とは自己価値に関する感覚であり、自分が自分についてどう考え、どう感じているかによって決まる感覚です。(中略)
そのままの自分を認める感覚であり、「自分は大切な存在だ」「自分はかけがえのない存在」だと思える心の状態が土台となります。

引用:一般社団法人日本セルフエスティーム普及協会

休日は精神的に楽だった

終始辛かったかと言うとそういう訳ではありません。休日は精神的に楽でした。ただ平日分の疲れがどっと押し寄せるため、ほとんど寝て過ごしていたかと思います。

ただ日曜の夜になるにつれて気が重くなり、月曜になればまた胃の痛みで目覚める日々がやってくる。この繰り返しでした。

その後、仕事のプロジェクトが炎上。土曜日の出勤を余儀なくされ、残業と休日出勤の日々がやってきます。そして抑うつを発症するのでした。

うつ病が悪化、休む機会が増える

男性
うつ病が悪化したときの話をしていきます。

うつ症状があからさまに出るようになり、生活に支障をきたすほどになりました。今までは夜に目が覚める程度でしたが、急性胃腸炎を頻発するようになり仕事を休む機会が増えていきました。

急性胃腸炎は腹がよじれるような痛み、いわゆる”突き刺さるような痛み”が腹部を走ります。映画など観ていても腹痛で話が入ってこないことがしばしば。結局何もできない日になったりします。

常にストレスを感じる

ここまでくると会社にいるだけでストレスを感じるようになります。身体は常に重たく、退社する時に解放される。この繰り返しです。

また当時は片道1時間半の通勤時間。おまけに満員電車という外的ストレスも行き帰りには少なからずかかっていたのです。

自宅についても残業のせいで風呂に入って寝る。好きなことをする時間なんてものは残っていませんでした。

内科検診にいくも臓器は正常

頻繁に急性胃腸炎を起こすということから、病院に内科検診をすることになりました。

処方された薬はいつもと同じものでしたが、その日は担当医から助言をいただきました。「○○さんの内臓に問題はありません。正直なところ精神的な部分が原因だと思います。内科よりも精神科に行かれた方が良いかと思いますよ。」

そして翌日、精神科クリニックに行き「抑うつ」を診断されるのでした。

精神科にて抑うつと診断される

初めて訪れた精神科クリニック。意外と他の病院と同じような感じであったのを覚えています。問診票に自覚症状などを書き、その後に医師とのカウンセリングでした。

結果として「抑うつ」との診断が下りました。治療法は薬物治療によるもので精神安定剤、整腸剤が処方されました。私の場合、睡眠障害はそれほど酷いものではなかったため睡眠薬はでませんでした。人によっては出るのかもしれません。

抑うつとは、「気分が落ち込んで何にもする気になれない」、「憂鬱な気分」などの心の状態が強くなり、様々な精神症状や身体症状がみられることを言います。

引用:健康長寿ネット-公益財団法人長寿科学振興財団

双極性障害(躁うつ病)
双極性障害では、ハイテンションで活動的な躁状態と、憂うつで無気力なうつ状態をくりかえします。躁状態になると、眠らなくても活発に活動する、次々にアイデアが浮かぶ、自分が偉大な人間だと感じられる、大きな買い物やギャンブルなどで散財するといったことがみられます。

引用:みんなのメンタルヘルス-厚生労働省

うつ病で半月寝たきり、無気力状態に陥る

男性
ここではうつ病によって半月寝たきり状態になった話をしていきます。

私は当初、病院から処方された薬で仕事をしながら克服できればと思っていました。しかし症状が回復することは全くありませんでした。そして会社に医師の証明書を提出。1ヶ月の休職をすることになります。

うつ病は仕事しながら克服するのは困難

今だからハッキリわかりますが、仕事をしながらうつ病を治すことは困難です。

うつ病の薬はストレスを完全に除去してくれるものではありません。あくまでも抑制するだけです。会社にいる間は自分が思っている以上にストレスを感じていたようで、薬が効いている感じがありませんでした。

「胃がキリキリする」「どうしても会社に行きたくない」という気持ちは一向に変わらず。限界を迎えた時に無理は禁物だということでしょう。休まなければ更にボロボロになっていくと身をもって経験しました。

1ヶ月の休職になるも無気力生活

1ヶ月の休職ということで出来るだけリフレッシュすることを考えていました。

しかし休職前半は本当に無気力で何もできませんでした。外に出ることはもちろん、テレビ・TVゲーム・パソコンなど全くやる気が起こらないのです。ただただボーっとしているだけで、寝れるときは寝るみたいな状態が続きました。

休職後半を迎えると少し活力が湧いてきました。「このままでは腐る。何かしよう。」というようなポジティブな考えもできるようになってきたのです。

うつ病から仕事復帰

1ヶ月の休職を経て、仕事に復帰しました。

さすがに会社側も考慮している面があり、最初の1週間は仕事→休み→仕事といったように馴らし期間が設けられました。

以前のような強いストレスを感じることは無くなりました。ただ職場につらい思い出が多すぎるゆえにフラッシュバックすることはそれなりに起きていました。

うつ病を理由に退職、そして転職へ

男性
うつ病を理由に退職、そして転職活動にシフトするまでの話をします。

うつ症状が治ってくると、それと同時に自分本来の思考力が戻ってきます。そこで思ったのが「この会社にしがみつく必要があるのか?」ということ。

この考えをキッカケに退職の話を切り出すことになります。今思えばこれが”私の人生を好転させる第一歩”となったと思っています。

再三の面談と引き止めをされる

会社の上司に退職を切り出したところ、再三におよぶ面談と引き止めを受けることになりました。

面談は「派遣先の現場から帰り途中に本社に寄ってくれ」と連絡され、計4回は面談を受けさせられたかと思います。

最終的には取締役まで出席する事態となり、面談の度に「まだ退職には早すぎる」「うちの会社ではもっと経験できることがある」「更に休職するという選択肢もある」など言われました。

しかし私は「若いうちから誰でもできる仕事ではなく、スキルに繋がる仕事がしたい。」と一貫して意見を通しました。いわゆるキャリアップを退職理由としたわけです。

体調不良による自己都合退職

最終的に書面上では「体調不良による自己都合退職」ということで退職が確定しました。おそらく上司の評価に影響が出るためと思われます。

正直本音を全部さらけ出せば「36協定をほとんど無視した職場環境」「割に合わない年収」「10年目の社員の薄給度合」など。会社に言いたいことは山ほどありました。ただ出来るだけ波風は立てないように事を進めたのです。

退職確定と共に精神的に健全になっていく

ちなみにですが、退職が確定しても即日退職とはなりません。基本的には退職を告げてから、2週間はその会社で働かなければなりません。

本来であれば、この2週間を有給休暇で過ごすというのがごく一般的です。ですが何と休職した1ヶ月のうち半月が有給休暇として処理されていたのです。

正直、怒りが込み上げてきました。ただ、ここも穏便に済ませるために感情を抑えました。とはいえ思っていた以上にその後は気持ちが軽かったのを覚えています。「この職場に居続けなくてもう良い。」それだけで精神的に楽だったのです。

そして2週間が経ち、事なきを得て無事退職。転職活動へとシフトしていきました。

民法では期間の定めのない雇用契約については、解約の申し入れ後、2週間(ただし、月給制の場合は、当該賃金計算期間の前半に申し入れて下さい。)で終了することとなっており、会社の同意がなければ退職できないというものではありません。(民法第627条)

引用:大阪労働局

うつ病を克服、転職後に思う事

男性
退職と同時にうつ病も克服したような感じられました。本当に身が軽くなり、ポジティブな思考が蘇った感覚は今でも忘れません。

その後は友人の力も借りて、新天地へ転職。新しい職場はイマドキの働き方をモットーとしており居心地が良く、また年休・年収・モチベーション全てが向上しました。

ここでは今だから思う”うつ病と仕事”について、私が思うところをまとめていきます。

うつ状態で仕事をできるわけがなかった

うつ病になると行動力と思考力が信じられないほど落ちます。

何をもって「仕事ができる」のかは正直疑問ですが、それはさておきうつ状態ではパフォーマンス力のある仕事は絶対にできません。

仕事の成果どうこうよりも、この苦しい状況から解放されたいという気持ちの方が圧倒的に強いからです。

そんな精神状態ではうつ病も治りませんし、仕事だって成功しません。全てが悪循環なのです。

会社にいる間はストレスと戦い続ける

うつ状態が深刻になれば、会社にいるだけでストレスを感じるようになります。

「あの仕事ミスしていないかな」「ミスしていたらどうしよう」「怒られないかな」と常に不安に感じ続けてしまうのです。

これもまた仕事の集中力を削ぐ要因となり、いつも以上にミスを頻発しやすくなっていきます。心の余裕や健全度は、仕事を成功させる上で非常に重要なことだと今では思っています。

退職の切り出し時が一番ストレスを感じる

日々の仕事も結構なストレスでしたが、やはり一番ストレスを感じたのは退職の切り出しをしたことです。

再三にわたる面談と引き止めがあったわけですが、精神状態が安定していたからこそ切り抜けれられたとも言えます。うつ病のまま切り出していたら、言いくるめられた可能性は十分にあります。うつ状態では本当に思考力が無くなります。これについてはタイミングが幸運だったと思っています。

退職代行サービスが流行する日本の職場環境のひどさ

私の職場は幸いにも4回の面談でなんとか退職を認めてくれました。しかし中にはもっとブラックな会社もあると思います。そもそも難癖を付けて退職を認めないなど。

そんな時代背景もあって「退職代行サービス」なるものまで登場しています。世間的には「こんなサービスを使う奴にロクな奴はいない」などの声もあります。ですが私からすれば「自分の価値観でしか物事を見られない人なんだな」です。

うつ病を経験した私から言えば、精神的にボロボロになるくらいなら使っても良いと思います。EXIT社長が言うに「退職代行は人を救うサービス」だそうです。あながち間違っていないと私は感じてしまいました。

「本当に辛い」「もう無理」「どうしても会社に行きたくない」そう感じるのであれば退職代行サービスでもなんでも、勇気を持って会社を辞めるべきだと思います。本当に。

「隣の芝生は青く見える」そんなことも無かった

退職や転職を考えたり、相談した際によく言われることわざがあります。それは「隣の芝生は青く見える」です。

意味は”いかなるものも、他人のものは良く見える。実際は皆同じである。”と言ったような意味合いです。これについてですが、仕事においては嘘です。

自分が思っている以上に良い環境というものは周りにあります。現に私の場合は1度の転職で飛躍的に人生そのものが向上しました。今いる環境が全てでは無いのです。

私には10人の同期が居ましたが、私の退職をキッカケに続々と退職者が続出。今では2人しか残っていないとのこと。そして退職者した全員が辞めたことを悔やんでいなかったのです。

もし私が経験した状況にいるのなら、真剣に退職を視野に入れてみてください。「退職は逃げ」「社会のレールから外れること」こんな固定観念は日本の悪いところです。退職はチャンスでしかありません。

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